「介護福祉士ファーストステップ研修」講義レポート
- 介護福祉士ファーストステップ研修第4日程
- 2025年8月27日(水)「コミュニケーション技術の応用的展開②」
今回も前回に引き続き、介護現場におけるコミュニケーションの実践力を磨くことを目的として、多様なワークを通じて学びを深めました。

午前のプログラムでは、事後課題として出されていたプロセスレコードの振り返りを行いました。利用者とのやり取りを一度主観的に捉えたうえで、改めて客観的に分析し、それを「自分自身に宛てた手紙」という形に書き直すという取り組みです。参加者はそれぞれ、自分が抱いた感情や解釈に改めて目を向け、そこに潜む偏りや思い込みに気づくことができていました。出来事を「客観的に捉える」ことは介護職にとって欠かせないスキルであり、冷静に状況を判断し、利用者に適切な支援を行うための基盤となります。この演習を通じ、日常業務の中で何気なく流してしまう出来事を一度立ち止まって振り返る意義を、参加者全員が実感できたのではないかと思われます。
午後は事前課題を基にした発表から始まりました。発表者、記録者、司会、タイムキーパーと役割を分担して取り組むことで、各自が異なる立場からコミュニケーションに関わる経験を積むことができました。発表者は自分の考えを言語化する力を鍛え、記録者や司会は要約や進行を通じて話を整理する力を養い、タイムキーパーは場を管理する力を実践的に身につけました。役割を持つことで責任感が芽生え、ただ話を聞くだけでは得られない学びがあったように思われます。このような体験は、介護現場におけるカンファレンスやチームケアの場面に直結し、実践的な訓練の機会として大きな意味を持つと考えられます。

さらに後半には、『介護とコミュニケーション』に関連する20のワードを参加者全員で書き出し、その全てを必ず用いて「介護に必要なコミュニケーション」を説明するというグループワークを行いました。一見すると制約の多い課題ですが、その制約の中でいかに工夫し、互いの意見を取り込みながら一つの文章を構築するかが問われます。参加者は試行錯誤を重ねながらも、笑顔や笑い声があふれる和やかな雰囲気の中で取り組んでいました。この活動を通じて、単なる「伝える」だけでなく「協働して表現をつくりあげる」経験を積むことができました。これは、利用者や家族、そしてチームメンバーと協力してケアを行う介護職にとって極めて重要な視点です。

時間の経過とともに参加者の発言が増え、積極的な姿勢が引き出されていったことが印象的でした。場が温まるにつれて、互いに意見を交換し合い、他者の考えを取り込む姿勢が自然と表れてきたことは、まさにコミュニケーション技術の実践的な成長といえます。介護の現場においては、利用者の多様なニーズを正確に把握し、職員同士が協力して応えていくことが求められます。そのためには、個人としての言語化能力や客観的視点の獲得に加え、グループの中で役割を果たす力や協働性が欠かせません。本研修での体験は、その基盤を培う貴重な一歩となりました。
埼玉県介護福祉士会 研修委員会

