「介護福祉士ファーストステップ研修」講義レポート
- 介護福祉士ファーストステップ研修第13日程
- 2026年1月14日(水)「介護職の健康・ストレスの管理
介護職にとって健康とストレス管理は、個人の体調やメンタル面の問題にとどまらず、職場全体のケアの質や安全性に大きく関わる重要な課題です。近年、介護業界では虐待問題や不適切ケア問題が社会的に注目されていますが、その背景には、職員の疲労やストレスの蓄積が影響しているケースも少なくありません。ストレスを抱えた状態が続くことで、感情のコントロールが難しくなり、意図せず不適切な言動や対応につながってしまう可能性があります。そのため、介護職の健康とストレス管理は、倫理や専門職としての姿勢とも深く関係するテーマだといえます。

本研修では、「介護の仕事上で生じやすい健康問題を抽出できること」「ストレスの種類を知り、ストレスによってどのような反応が生じるのかを理解したうえで、メンタルヘルスケアを実践できること」を目標に講義が進められました。講義の冒頭では、ストレスを感じないようにすることが目的ではなく、ストレスを感じている自分自身に気づくことが大切である、という点が強調されました。ストレスは誰にでも生じるものであり、気づかないまま無理を続けてしまうことこそが問題である、という説明に、多くの参加者が共感していました。
講義の途中では、最近感じたストレスと、その際に自分にどのような変化が現れたかを振り返る個人ワークを行いました。イライラしやすくなった、言葉がきつくなった、集中力が続かなくなったなど、日常の中で起こりがちな変化を書き出し、参加者同士で共有しました。こうした振り返りを通して、自分では当たり前だと思っていた反応が、実はストレスによるサインであったことに気づく場面も多く見られました。不適切ケアは突然起こるものではなく、こうした小さな変化の積み重ねの先に起こり得るものであるという理解が深まりました。

午後の講義では、ストレスへの対処法としてコーピングについて学びました。気分転換や休息だけでなく、気持ちを言葉にすること、周囲に相談すること、業務の進め方や環境を見直すことなど、さまざまな対処の方法が紹介されました。一つの方法に頼るのではなく、自分に合った複数の選択肢を持つことが、ストレスと上手に付き合っていくうえで重要であることが共有されました。
また今回は、個人としてのセルフケアに加えて、チームリーダーとしての視点についても学ぶ機会となりました。自分自身の状態に気づくことだけでなく、部下や同僚の小さな変化に目を向けること、声かけや関わり方を工夫すること、安心して相談できる雰囲気をつくることなど、チーム全体でストレスをマネジメントしていく重要性が確認されました。健康とストレス管理は個人任せにするものではなく、チームや組織として取り組むべき課題であるという認識が共有されました。
13回目の研修ということもあり、受講生同士の関係性も深まり、意見交換や発言が非常に活発でした。お互いの経験を尊重しながら学び合う姿勢が随所に見られ、安心して話せる学習環境が整っていることが印象的でした。
介護職の健康とストレス管理を学ぶことは、結果として利用者の尊厳を守り、質の高いケアを継続することにつながります。今回の研修で得られた気づきや学びが、日々の実践やチームづくりに生かされていくことを期待しています。
埼玉県介護福祉士会 研修委員会

